左翼でもプロ市民でもない君が、反原発運動を始めるには?

ここに引用する文章は、今から21年前、1990年に出た本からだ。その本のタイトルは「NO NUKES! YES ROCK!」この序文のタイトルは、「生き残る!」だ。

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「生き残る!」

まったくとんでもない時代にブチ当たっちまったもんだぜ。こんな、狂気のような、核と原子力の正体を知ってしまってからというもの、どんなスゲエ映画を見ても、どんなにカッコいい音楽を聞いても、もはや以前のようには胸が踊らないし、血も騒がない。夢中になんかなれなくなっちまった・・・・・。何も面白くねえ!

心のどこかでいつもビビってるからだろう、すべてが終わる日を。巨大な火柱が立ちのぼり、黒い雨が降り、犬や猫が狂い、街中に悲しみがあふれ、歯茎から血を流し、紫色の斑点にまみれて大事な人が苦しみながら死んでいく日が来ることを。

ちくしょう!なんという世の中だ!いったいどうして俺たちはこんな思いをしなければいけないんだ?どうして苦痛と恐怖を強制されるんだろう?おれたちのまったく関係しないところで準備され、造られ、ガードされている原発。誰も望みやしないのに。そこに存在しているんだ・・・・ カネも力もねえおれたちには、とても変えようのねえ現実。

できることなら忘れ去り、知らんぷりして一生メデタク暮らしたい。だけど、そんなことはいまさら無理な相談というもの。自分の心に嘘はつけない。いくら目をそむけてみたって、この現実はおれたちの前から消え去ってくれたりはしねえんだもんな。それならば、いっそのこと正々堂々と正面を向いて、目の前のバケモノと戦っていこう、そのほうがよっぽど精神衛生上もマシだぜ! そういう考えの仲間のためにおれたちはこの本を書いた。
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「NO NUKES! YES ROCK!」より

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この本は、反核、反戦のアクションを起こすためにロック・ファン(特にパンクス)5人が集まってできた小さなグループの、反核運動マニュアルだ。行き詰った左翼セクトや、ダサい市民グループ(プロ市民?)の運動とは無縁の若い5人が、「ワープロ、パソコン、FAX、カセット、コピーマシン、NTT、電気」という身の回りにあふれるガジェットを使って、原発と戦うためのノウハウ(もちろん、非暴力で!)を、これでもかと、たっぷり詰め込んだのだ。

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その内容を簡単に紹介すれば・・・・  公衆電話の説明書や、路上の標識を落書きでイジくり、反核メッセージへと変えてしまう、アドバスター的手法。まるであのバンクシーを20年も先取りするかのように、街中に反原発の宣伝を撒き散らす、グラフィティやステンシルの爆弾を作り出すノウハウ。ワープロや縮小コピーを駆使して作り出す、ミニコミやフリーペーパー。カセットにラジオ番組のように、自分の好きな音楽とともに、反核のメッセージを吹き込み、友人に手渡す、ミックステープ。デモ申請や、横断幕、プラカード、メッセージTシャツの作り方。今となっては懐かしい?NTTのパソコン通信や、伝言ダイヤルを利用してのネットワーキング。反核ロックフェスの企画方法や、原発企業へのボイコットなどなどだ。

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何よりこの本に共感できるのは、少人数の気の合う仲間が数人いればいいってメッセージだ。どれだけの左翼や市民グループがクソな内ゲバや権力争いで運動を潰してきたかは、歴史をちょっと振り返ればすぐわかる。党やデカイ組織なんていらない。

「個人がいて、小さなグループがあって、アクションを支える心があれば、それで強力に戦っていける。どこかで誰かが何かを始める。それが共感できるものならば、それをみんなで徹底的にバックアップする。ふだんは知らない人でもいい。戦うときはみんな仲間だ。集会や大会なんかくだらない。デカイ団体に入っても理屈や人間関係に追いまくられてしまってどんどん疲れがたまっていく。戦う前に倒れてしまう。これじゃなんにも意味が無い」

「オレたちはまったくの新世代だ。いつもはやつら(権力)の目には見えない。必要なときだけ現れて、思いっきりパンチを食らわしたら、すぐにまたフッと姿を消してしまう。次には背後に現れる。あるいは小さくたくさんに分かれてグルっと取り巻いて動けなくする。組織じゃできないやり方さ。個人や小グループはこうやって戦う。さあ、小さなグループや個人的な仲間を作ろうぜ。そして、自由な行動を始めよう。自分たちの思いつくままに素直に動こうという態度が大事さ。そして、もちろんほかの人の言葉に共感できるような心も忘れるんじゃないよ。小グループのメンバーは人数としては3、4人がいいな。最初はそれで十分だと思う。あとは自然にやっていけばいい。続けるやつは続けるし、やめるやつはやめていくだろうから。」

「とにかく、仲間を作りな。ひとりでいるより絶対マシだって。世の中、狭いようでいてけっこう広いぜ。探してみればあんたみたいなヘンな仲間?がきっと見つかるハズなんだから。」

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運動のコツは楽しむこと。無理をしないこと。背負いすぎないこと。状況は最高にシリアス。だけど、それを笑い飛ばして、少しずつ、一歩一歩前に進めればいい。「明日、世界が滅ぼうとも、今日、私は、リンゴの木を植える」ルターの言葉だ。



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