悲しみのロッカーズ

あーなんてことをしてくれたのだろう、中野区は。ごく平穏に中庸に暮らしたいのに。小さな抵抗心がちょっとむくむくしちゃったよ、もー。

ロッカーズのサントラをCDウォークマン(まだこっち派)に入れ、最大の音量でかき鳴らしながら、中野区の自転車保管場所に向かう。何回も観てるからどうもね、歩き方が自然とあーなっちゃうんだよ。インナー・サークルの「俺達はロッカーズだぜ」って曲を聴いてるうちにジャイコブ・ミラーの歩き方(左手をポッケに入れ、からだを極端に傾かせながら)に。ピーター・トッシュの歩くカミソリソング聴きながらちょっとチンピラ気分に。なんだか気が大きくなって勝てそうな気がしてきたぞ。

自転車保管所は本当に『ロッカーズ』に出てくる盗品倉庫のようで、死んでる自転車を見ていたら悲しくなった。集団で乗り込んですべての自転車を即時解放してあげたい、中野や高円寺の貧乏アパートの前にこっそり置いてきてやりたい、そんなロッカーズ妄想に耽りたくもなる。

「ボンボクラッ」って馬口のように文句を言うつもりで来たんだけど、あっさり五千円払っちゃったのだ。ずるいよー、あんなしょぼくれたおじいちゃんたちを配置するのー、バビロンのバカ!末端労働者である係りのおじちゃんたちを責めてもしょーがない。きっと日頃からタチの悪いアナルコ・サイクリストたちから罵倒されているのだろう、なんて大変な仕事なんだ、と同情心が芽生えてしまった。

五千円を払わずに自転車に飛び乗って逃げるということも状況的に簡単にできた。悪いことをしたと思ってないなら、なぜそれをしなかったのだろう。規則には従いましょう。まったく奴らの思うつぼだ。でも小さな抵抗はしたよ。一万円札を出して、「また次も自転車を駅前にとめると思うので先に払っておいていいですか」って。受け取ってくれなかったけどね。日本人って真面目だね。そこは評価しよう。経済的には大打撃だけど、本当は横領してくれたほうが面白かったんだけどー。

なんか勇気づけられる文章を見っけたので本当は面倒くさいんだけど引用する。 『スピノザ 共同性のポリティクス』より。

「私たちはこの社会ないし国家が何かしらフェアではないと感じる時がある。そのような時、私たちは自分たちの社会ないし制度に対し、そして自分自身に対し、なにがしかの悲しみを感じないだろうか。スピノザはその感覚を大事にせよと言っているのである。それが「正義」だから立ち上がるのではなく、この私に悲しみを引き起こす具体的な相手がそこに(あるいは近い未来に)存在し、そして相手の悲しみ-それが私の悲しみなのだが-を持続させるような仕組みがそこにあるから、それをなくすように私は行動する・・・・(中略) 存在に先立ついかなる秩序も存在しない以上、いかなる社会的制度であれ、それが作られたものである限りにおいて変更可能である。この当たり前の事実を認識しつつ、たとえささやかでもそのような改革的かつ実効性をもった行為に参与しているという実感を持てる時、私たちは自らがよい出会いを組織化していること、喜びの情動を増殖させようと努めていることそれ以上に、おのずから喜びを見いだしていけるはずである」

まあ、つまり「俺達はロッカーズだぜ!」ってことでしょ。


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  • By harpobucho / Aug 19, 2007 3:25 am

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