アリ TO キリギリス

イソップ寓話に「アリとキリギリス」という有名な話がある。翻訳によって国ごとにニュアンスが多少違うが、おおむねこんな感じ。今風にちょっと手を加えておこう。

アリさんは暑い盛りも、もくもくと一生懸命働きました。厳しい冬のため少しの蓄えもできました。キリギリスさんはすずしい夕方になるとレコードを回し、毎夜毎夜パーティを楽しみ、熱い日中は昼寝ばかりしていました。やがて冬。大地に食べ物がなくなり、キリギリスさんはおなかを空かし、困り果てて、アリさんの家をたずねました。


ここからは国や時代によって大分違ってくる。日本の場合、「アリとキリギリス」の結末に関するこんな資料がある。

★戦後(1945年)~1979年に出版されたイソップ寓話 69冊                        
アリがキリギリスに食べ物を分けてやらない話 (37冊)
食べ物を分けてやる話 (27冊)
食べ物をやったかどうか判らない話 ( 5冊)

★1980年~1997年4月に出版されたイソップ寓話 38冊
アリがキリギリスに食べ物を分けてやらない話 (28冊)
食べ物を分けてやる話 ( 4冊)            
食べ物をやったかどうか判らない話 ( 6冊)

高度成長期の時代は、みんなが中流意識を持っていて、困った人がいたら、助けてあげる余裕があった。80年代に入ると、それがなくなる。食べ物を与えてやる話が激減しているのだ。これは、ちょうどネオリベな空気が生れてきた時期に重なる。働かない奴、ダメな奴は餓死して当然って雰囲気。現在はさしずめ、餓死したキリギリスをアリが食べてしまうって世界。企業(働きアリの集合体)が人間を食い物にしてるのだ。なんてグロい世界だ。故にグローバリゼーションって名付けよう。

いったいキリギリスとして、どのように振舞えばいいのか?簡単だ。快楽原則にのっとろう。


アリさんはキリギリスさんに「夏の間歌っていたなら、冬の間は踊っていたらいいさ」と言い、冷たくドアを閉めました。

イエーす!そうか、アリさん、踊っていればいいのか!?君は実に頭がイイ!今夜はタマ仕込んでライフォ行くべ。

そうやって毎日楽しく生きていけばいいのではないでしょーか。生-政治を生きるってことは、生-遊戯を生きることですもの。

お腹空いたり、眠くなったら、アリの巣に忍びこみ、使われていない部屋をスクワット(不法占拠)すればいい。アリたちを自分の芸で楽しませ、食料を分けてもらえばいい。芸で魅せ、アリたちをじょじょに仲間に引きずりこめばいい。お前らの仕えている女王アリってのがいかにグロいか、その正体を教えてあげればいい。

巨大コーポレーションの働きアリから、自律した遊び人、キリギリスへ。

アリ TO キリギリス。


  • HarpoBucho
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  • By harpobucho / Jan 12, 2006 2:07 pm

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