ワンダーウォール・キャンペーン(確定)

ワンダーウォール・キャンペーン→ワンダーウォール・プロジェクト→わんだーうぉーるプロジェクト→わんだーうぉーるキャンペーンとタイトルを微妙に変更しながら、パレスチナの壁にやっと辿り着きました! タイトルが結局、ワンダーウォール・キャンペーンって当初のアイディアに戻ってきたのが個人的には感動的です。

なんでこんなコロコロとタイトルがマイナーチェンジしたか申しますと、個人的な妄想が共有されていく過程での影響関係に寄ります。ボクの中ではパレスチナに貼られたポスター群以上に、この動的な共同作業に価値を見いだし、なんだかとてつもない可能性を感じたわけです。正直、荷物が現地に届かなくてもいいや、って思ってましたからね。マーカス・ガーヴェイが設立した貿易会社ブラック・スター・ライン(Black Star Line)社憧れで始めたハーポ・プロダクションなので、みんなからペテン師呼ばわりされるのもいいかな、と。でも、まあ無事に届き、現場の見事な判断力と行動力で「いい仕事」が成されたことは本当にうれしいですね。直接的にでも間接的にでも、このキャンペーンに関係された全員に感謝!特にこのアクションの発案者である現場の シガ・ムスタファ・ナオキ aka KITOU SEISHI さんに最大限のリスペクトを!

イルコモンズのふた。に詳細レポートが! ボクも煽るだけじゃなくて、スピーディにきっちりカタチにする運動神経がほしい!
▼やればできるし、想えば叶う


以下はキャンペーン評論家のマルボロ内親王氏のキャンペーン評です。内親王、寄稿ありがとうございます!


言論の自由が民主主義の基盤であるならば、それ以前に交通の自由は人びとがそもそも出会うためのもっとも基本的な基盤です。そして検閲が人びとの自由な発話を封じ込めてしまうように、壁は人びとの身体的な交通を封じ込めてしまいます。パレスチナではまさにこの身体的な検閲が人びとの交通をさえぎっていて、人びとの出会いを、混交を、新たな友愛の可能性を押し込めてしまっているのです。

魂とは、古代ギリシャではそれ自身で動くことができるものを意味しました。裏返せば、動くことをやめるとき、魂は枯れてしまいます。ただしギリシャ人は、この魂の運動を身体の運動と結びつけることはしませんでした。しかし実際には、魂は体を通して、つまり足や手や口や目や耳を通してはじめて運動することができます。動くこと、触ること、話すこと、見ること、聴くこと、これらの世界や他者による触発という契機を通して、はじめて魂は生き生きと動いていくことができます。

またギリシャ人は、なにかを記録したり表現したりということもまた、魂の運動においてあまり重要視しませんでした。プラトンは『パイドロス』で筆記行為を、そして『国家』で詩人を非難しました。しかし実際には、魂は書く(描く)ことで、そしてそこで書き(描き)込まれたものに触発されることで、その運動を活発にしていきます。魂の表現というものが、問われなければなりません。

表現すること、それは魂に物質的なかたちを与えることです。そして魂は物質的な形を獲得することで、そこに複数の魂が交通するある場というものを作り出すことができます。さらにまた、物質的な形を獲得した魂は、未来という時間へと受け渡されていくことができるようになります。そこには、同時代的な他者たちの魂とだけではなく、未来の他者たちの魂との交通の場もまた開かれるのです。

パレスチナの隔離壁は、人びとの身体の動きをさえぎります。その壁は、確かに人びとの身体の交通を禁止するでしょう。またその禁止は、人びとの生活やまた魂の活動に大きな制約を課すでしょう。しかし魂の運動は、それでもなお、ある秘めやかな別の回路を通って、一つの格別な交通を生み出すことができます。それが、物質化された魂である表現という回路を経由する精神的な交通です。

僕の肉体がいま存在しているこの日本からは、パレスチナは物理的には遥か彼方に位置します。しかし魂の精神的な交通における特権的な交通機関である想像力と共感にとっては、その物理的な隔たりは究極的には障害にはなりません。少なくとも、そこに最小限の物質的回路が、不可視の電気波動がほんのかすかにでも通っていれば、魂の精神的な交通はそれだけですでに成立することが可能なはずです。

残念ながら僕は少し出遅れてしまいましたが、しかしそれでもパレスチナの隔離壁に刻印された魂の痕跡を通して、遅ればせながら多くの人びとの魂の交通の回路にささやかにでも参加したいと思っています。そしてまた、この交通の回路がどんどんやかましくなって、やがては現実の壁をとりのぞく力へと変わっていくことができれば素晴らしいと思います。

魂の交通の記憶が、少しずつでも暴力の連鎖の記憶を和らげて、そこに共感の回路を広げていってくれることを切に願ってやみません。しかしそれが実現するためには、やはりどうしてもパレスチナの隔離壁という「その場所」に、暴力の現在とは別の何かをまなざす「表現」が置かれる必要があったのだと思います。この「ワンダーウォール」キャンペーンを進めていった、僕の知っている人や知らない人みんなに、賛辞と敬意を送りたいと思います。

マルボロ内親王


  • Action
  • Tag:
  • By intellipunk / Feb 08, 2008 2:17 am

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