上野千鶴子

ネグリ歓待

ネグリ祝来日のサイト作りました。
negri_banner http://www.wismc.org/symposium/

さてアントニオ・ネグリに外務省通からビザがおり、ネグリさんも来日をOKしたそうで、関係者の積年の念いも通じそうです!
国際文化会館さんえらい! 力を出した先生たちどうもありがとうございました! まさにファン冥利に尽きます!

2008年のネグリ来日出来なかった顛末は、RLL38 Antonio Negri Tシャツライナーノーツにちょっとだけ書かれているけど、(オフィシャルなのは コレ)あのときは、ほんとTシャツが売れず在庫を持て余し災難だったんです。人の商売じゃましやがって法務省! 外務省! 忘れねぇからな。

デザインしたTシャツも‪Wailers‬「Burnin’」見立てのネグリだなんて、‪誰得の食い合わせ。‬しかし名盤バーニンはGet Up, Stand Up、Hallelujah Time、Burnin’ and Lootin’、Small Axe”とネグリの思想と共鳴しそうな名曲揃い。案外ネグリも(ギルロイに気をつかいながら)ウェラーズを好きなこと隠してないんかな、と強引にデザイン。レゲエ→反帝国主義・反レイシズム→左翼というコースに沿って考えれば、多くの思想圏がネグリとギルロイの間に広がっていることは間違いのないことなのだ。


僕は99年『構成的権力』(松籟社)ではじめてネグリという思想家を知り、クールなジャケに騙されて間違って読んじゃったりしてなぜか大感動したりして。その後『〈帝国〉』(以文社)が大ブレイクして2001~3年あたりで、世間もちょっとしたネグリブームにもなったもんだ。出版前の杉村昌昭さん酒井隆史さんらが解説した帝国・マルチチュードとは勉強会に行ったり、個人的にも世間的にも、なんだかあの10年前は911と相まってポストモダン政治思想のルネサンス感があったと記憶している。08年にはネグリの替わりに反G8サミットでハートが来たりしたし、ずっと無視出来ない存在としてあった。ざっくりでいいから見取り図を引けて使える、反グローバルムーブメントから、アラブの春やオキュパイまでも射程に入れて併走出来る政治思想は、結局ネグリしか居なかった。イラク反戦から10年、ハートとの共著は毀誉褒貶ありながら現場で一番読まれ、マルチチュードやコモンズという言葉が希望として愛されたのじゃないだろうか。『芸術とマルチチュード』(月曜社)ではPUNKとzineについて、『未来派左翼』(NHK出版)では現代中国のことも語っていて、ほんとアクチュアルな評論も多い。社会学からではない、現代の国家と資本主義への哲学現代思想からの射程の広い分析としては随一ではないだろうか。オピニオンとしてこの先の世界を照らす彼の言説は狭いアカデミシャンの世界よりずっと広く求められている。自分史的には2011年には911原発やめろデモでとっ捕まり、差し入れされた『野生のアノマリー』(作品社)を独房で読めたことで、大きな希望を得たこともあった。自由を奪われた状況で永遠を信じる、スピノザ→ネグリ→僕への贈り物を拘束の中で受け取ったのが物語として大きい。ネグリを通してスピノザの恩寵を与えられたのだった。ネグリが獄中で書いた本が、不自由な身を解き放つ哲学でないわけがない!


だから5年前のあの彼が不自由なときのメッセージにはこうあった。

大きな失望をもって私たちは訪日を断念します。
数カ月にわたり訪日を準備してくださったすべての皆さん(木幡教授、市田教授、園田氏——彼は日々の貴重な助力者でした——、翻訳者の方々、諸大学の関係者の方々、そして学生の皆さん)に対し、私たちは申し上げたい。あなたたちの友情に、遠くからですが、ずっと感謝してきました。私たちはこの友情がこれからも大きくなり続けることを強く願っています。皆さんの仕事がどれほど大変だったかよく分かります。皆さんに対しては、ただ賛辞があるばかりです。
パーティは延期されただけで、まもなく皆さんの元へ伺う機会があるだろう、と信じたい気持ちです。
友情の念と残念な思いを込めて……
ジュディット・ルヴェル
アントニオ・ネグリ


最後の「パーティ~」のくだりが未来を予見していたかのように、ネグリがやってきます!

やった!

そう、スピノチストの永遠を信じる心には諦めがないのです!



でも現実は厳しい。今回だって、政治の火種を未だ燻らせている不屈の老哲学者が、かつて三里塚闘争で知られたところから飛行機で降りて来て放射能降りそそいだ帝都東京へ来るまでは、安心出来ないのかもしれない。革命的警戒心という用語も廃れた2013年に、この哲学者を歓待する難しさについては、どのくらいリアリティがあるんか分からないけれど。例えるならコスタ・ガブラスの映画を地でいっている人、カルロスより劇的な哲学者。「BRUTUS TRIP」で有太マンが”秘境”としてか(?)会いに行った人(http://www.madfoot.jp/blog/yutaman/2008/09/post_126.html)。秘仏御開帳なみのレアさです!



neguri_web_top
そんなんで、今回、極秘にネグリ来日シンポジウムのWEBページをartNOMADさんと一緒に作らせて頂きました。「ネグリでんぐり」という前回のWEBを作ったartNOMAD氏と恊働ができて〈コモン〉な嬉しさもあります。リベンジです!
見た目はネグリを桜の季節にお迎えしようという身も蓋もないデザインですが。背景のネグリ本はintellipunk蔵書、いつも棚を飾っている背を積み重ねてみました。今までは[本の中の人]だったのに逢いに行ける!というワクワクを込めて、アノニマスだけど類がない感じになったかな。


シンポジウムは2回あって、国際文化会館主催「アントニオ・ネグリ×姜尚中」と、僕がウェブデザインを依頼された日本学術会議主催の「マルチチュードと権力 : 3.11以降の世界」と題された方。こちらは迎える役者は市田良彦さん上野千鶴子さん毛利喜孝さんと硬軟合わせたベストな布陣に立役者コーディネイターは伊藤守さん。凄く楽しみ、というか待たされたぶんの想いがつまっているシンポジウムです。

コモンウェルスも読みましょう。
朝日http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2013022400012.html
読売http://www.yomiuri.co.jp/book/review/20130128-OYT8T00930.htm
日経http://www.nikkei.com/article/DGXDZO51573460Z00C13A2MZC001/

最新刊『叛逆―マルチチュードの民主主義宣言』(NHKブックス)も23日に出ます!

これを記念にRLLは、RLL38 Antonio Negri Tシャツのピンクボディバージョンを2013年版リミックスとしてリリースします!
この濃桜色の感じがネグリの思想と相性いいね。パキッと陽性な感じが彼の魅力でもありますし、ピンクの「Burnin’」で春を向かえよう!


NegriPink



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