ハーポシアター

太陽と住み開き

さきほどお籠り宣言したわけだが、こう天気がいいと籠っているのがもったいない。気分が変わったのでしょうがない。ハーポシアターは夜の営みなので昼間はやはりふらふらフラヌールするに限る。今日は自転車でふらふらと浅草橋へ。午後5時から写真集の朗読がある。

富永剛総 写真展「ここ から とおく」
http://www.holbein-artistnavi.com/artnews/exhibition/tokyo/7730.htm

予約が入れば午前中のカフェ・タンジールも営業したい。これからの季節が午前の陽光が一番のごちそう。ミントティーは太陽の下で飲むものである。モロッコのあるマグリブはアラビア語で「日の没するところ」という意味だが、この季節の夕日はちょこっとせつない。まあ、あのブルース感も愛してるけどさ。夕日はノスタルジーを強く喚起するので中毒性が高い。夕暮れ公園散歩はノスタル爺への道まっしぐらなので危険を伴う。無邪気に楽しい少年時代に退行しながら未来不定の老人領域へと前進しているわけだ。

ハーポシアターもカフェ・タンジールもボクの家のことである。単なる茶の間やホームシアター環境をいちいちなぜカッコつけて名付けるのかというと、単にボクがネーミングマニアだということもあるが「住み開き」というアイディアに寄る。そのコンセプトに影響を受けたというよりかは、たまたま同じことを考えていたわけだ。

住み開きアートプロジェクト
http://sumibiraki.blogspot.com/

住み開き(すみびらき)とは、自宅を代表としたプライベートな生活空間、もしくは個人事務所を、本来の用途以外のクリエイティブな手法で、セミパブリックとして開放している活動、もしくはその拠点のことを指します。2008年10月に日常編集家のアサダワタルによって提唱されたコトバです。

「じぶんの場所をみんなのためにちょっとだけひらく」とあるが「ちょっとだけ」というのがミソなのである。セミパブリックというのは「半開き」ということだが、この微妙な状態をキープするのが実に難しい。プライベート空間なので、あまり不特定多数の人に来て欲しくないのだが、誰かに来て欲しいと思っているそのマインド問題。

cat
部屋の中でごろごろしながら外を眺めて半開きマインドの師匠にまねぶ。これは陰陽の境に身を持っていく高度な技。

ボクはなるべく誰とでも仲良くしようと努めているが、パーティピープルの全開オープンマインドも、オタクの引き蘢り探求マインドも実はうまく馴染めない。やはり半開きのファジーなかんじがなんとなく好きなのだ。開き具合はその日の天気や気分によって変化する。太陽の光のことをことさら強調するのは、マインドの半開き具合を調整するセロトニン神経が、太陽の光信号にものすごく影響を受けるからである。あ、思わず嫌いな脳科学っぽい話をしてしまった。いけない、太陽光線が気持ち良すぎてちょっと開き過ぎた。

歌舞伎町の稲荷鬼王神社で無縁話。これに参加しようと思う。ボクのこころの悩みは解決されるだろうか?

「住み開きシンポジウム その3 縁の編集 無縁の場」

日時:11月5日[金]19時半ー21時半
会場:稲荷鬼王神社(東京都新宿区歌舞伎町2-17-5)
参加費: 1000円(東京の条件各種チケット使用可)
ゲスト: 大澤寅雄(文化生態研究・ニッセイ基礎研究所研究員)
内容:住み開きは自分のための場所がちょっとだけ開かれることで、誰のための場所でもあり、同時に誰のためでもない場所となり得る面白い活動です。シンポその3では、この誰のためでもない場所だからこそ、様々な縁が生まれる可能性について語り合います。

※事前にメールでの申し込みが必要。



脱呑気ののんきさ

やばい。もう11月だ。そろそろ呑気に遊んで暮らす生活にピリオドを打たねばならぬ。荷風気取りで散歩や読書に明け暮れている場合じゃない。平日昼間から歌舞伎を見たり美術館に行ったりする河原貴族生活は控えよう。

新橋演舞場に行く前に調子にのって銀座アバクロでマッチョな外人と記念写真を撮ってもらったが、そこに写っている自分の呑気な顔といったら! それに比べて国立新美術館で見た没後120年ゴッホ展での彼の自画像の尋常じゃない切迫感といったら! 青い炎がメラメラしてる。

「ぼくは100年後の人々にも、生きているかの如く言える肖像画を書いてみたい」とゴッホは死の一ヶ月前に妹に宛てた手紙を書いている。アルトーがゴッホに超共感しまくりの『ヴァン・ゴッホ 社会が自殺させた者』で「ゴッホ展はいつの時代においてもひとつの事件である」と書いているが、ボクにとっても事件だった。苦悩の中で画家として働きまくったわりには生前に絵が一枚しか売れなかった残念な人ゴッホに長時間見つめられ「働け」と説教をされているかのようであった。

平昼の美術館には有閑マダムや美大生に混じって無職らしい風貌の輩(まあ、ボクらのことだ)がゴッホと真剣に向き合っている。ゴッホの生涯を追いかけるこの展示は何かと苦悩を強いられる現代人の心を強く打つ何かがある。

幸福のヒントもある。ゴーギャンとの南仏での愛のコミューン生活を描いた「アルルの寝室」。ベッドには枕がふたつ。完全な休息を表現したらしい。でも悲しいことにゴッホとゴーギャンのサマー・オブ・ラブはあの有名な耳削ぎ事件でわずか2ヶ月で終止符を打つ。ゴッホを成仏させるためにソウルメイト平井堅は鎮魂歌を熱唱している。タイトルは「太陽」。

あなたを抱きしめたら迷いはない・・・
炎は消えない・・・
http://www.tbs.co.jp/event/goghten2010/


今年もあと2ヶ月。遊びまわる生活をやめ、部屋に籠ろう。社会起業家のビジネススクールでゲットした活動支援金で早速ホームシアター用のプロジェクターを購入。わがカフェ・タンジール内に社会派劇場ハーポシアターが完成した。籠ってシリアスな映画を観まくり、呑気な気分を吹き飛ばそう。

完全なる休息である楽園生活を2ヶ月で終わらせてしまうのはもったいない。ゴッホの教訓を活かそう。冬はお籠りの季節である。再び外に勢いよく飛び出すためにも完全なる休息は必要なのである。

シリアスなお蘢り生活に入るので、御用の方は火曜日の気流舎にお越しくださいませ! 下北沢に遠征して籠っております。14~23時。21時から毎回レア映像の上映イベントやります!

添田唖蝉坊の弟子石田一松の「のんき節」
[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=r1pP-WfcCBA&feature=player_embedded[/youtube]

岡大介&小林寛明「平成のんき節」
[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=2Lz5eDppFS4&feature=player_embedded[/youtube]



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